Pride and Dust World(HTN)

画家ではありません。 イラストレーターでもありません。 物語と詩を書いています。 それらと対になる絵を描いています。 Japanese Working Class Artist. 制作依頼はお気軽に。かつてない時代を生きている「今」だからこそ、伝えたいことがある。

since August 25th, 2007/僕が出逢った景色から(4)

『短い物語P&D』は、とても短い物語と、それを表す絵画で構成されています。
連載ではなく、一話完結です。

日常という現実。
空想してしまうという現実。
夢を見るという現実。
それらが混在する混沌とした日々から生まれた物語。
時には共感できないエンターテインメント。

「かつてない時代を生きている今だからこそ、伝えたいことがあります。
当公演にアンコールはございませんので御了承下さい。
それでは間もなく開演です。」

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■短い物語P&D『カクタス(1/2)』


カクタスは我がままだった。
誰にでもタメ口。
何かと好戦的。
周りに迷惑ばかりかけるから、ついに森を追放された。

意地っ張りのカクタスは、岩を敷き詰めた荒野に向かう。
けれど、そこでも同じことの繰り返し。
トカゲにいたずらしたり、サソリを怒らせたり。
結局、誰もカクタスを相手にしなくなった。
ヘビや虫や鳥たちも、陰に身を隠すようになった。

さすがのカクタスも寂しくなった。
でもやっぱり意地を張る。
ずっと一人。

   

昼間の容赦ない日差しと、夜の残酷な冷たさは、ゆっくりカクタスの姿を変えていった。
少しずつだったが、体中にトゲが生えた。
それは、荒んだ内側で鋭く尖ってしまった気持ちの現れだった。

やがてカクタスは動かなくなった。
無数のトゲで大気の水分を吸収して生きながらえ、意地を張ったまま根も張った。
悔しいけど、寂しい。
でも泣いたりはしなかった。  ~続く


【作話】
■タイトル(Title):短い物語P&D『カクタス(1/2)』
■作家名(Artist):環樹涼(RYO KANZYU)
■制作年:2008

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【画】
■タイトル(Title):『カクタス~SCENE1』
■作家名(Artist):環樹涼(RYO KANZYU)
■制作年:2008
■画材:鉛筆、画用紙、スプレー
■作品サイズ:B5、縦19cm×横14cmの枠内に描画。

since August 25th, 2007/僕が出逢った景色から(3)

『短い物語P&D』は、とても短い物語と、それを表す絵画で構成されています。

連載ではなく、一話完結です。

日常という現実。

空想してしまうという現実。

夢を見るという現実。

それらが混在する混沌とした日々から生まれた物語。

時には共感できないエンターテインメント。

「かつてない時代を生きている今だからこそ、伝えたいことがあります。

当公演にアンコールはございませんので御了承下さい。 それでは間もなく開演です。」

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■短い物語P&D『カウントダウンへ(2/2)』

 

体を起こし、ガラスに顔を押し付けて何度も確かめた。 見えるのは絶え間ない水しぶき。 気づけば、車窓には遠くで触れ合う水面と夕方の空だけ。 反対側を見ても同じ。 無理やり納得するなら、雨で増水した区間を走っているのだろうと推測する。 もしくは、この路線はこういうものなのかもしれないと考えてみる。 この時の僕は、やけに平常心だった。 この新鮮な時間を楽しもうと思った。 やがて同室の客の不在に気付き、僕はひとりを満喫するように眺めた。 いつしか雲に隠れたまま夕日が並走していた。 いろんな妄想を繰り返していた僕は、遥か遠くの水面に気になる影を見つけた。 それは一隻の船だった。 古い外国の帆船みたいなシルエット。 船首には見覚えのある動物の頭部。 ……羊? 確かめる時間は与えられず、雲が途切れた。 太陽は、この日最後のあいさつをするようにまっすぐ僕を見た。 眩しさで体ごと消えてしまいそうになる。 やがて視界が元に戻ると、もう水上の旅は終わっていた。

夕日を背にした影色の街並が通り過ぎて行く。 後ろを振り返ったけれど、見えたのは都会の景色だけだった。 そして、終着駅の地で迎えた大晦日の夜。 「大きな海と 大きな空と 大きな旗と 君だけの……」と僕は歌った。 その時、僕は思い出していた。 この旅には、未来を考え直すというもう一つの目的があったことを。 それから新年へのカウントダウンの後、僕は笑顔で拳を突き上げていた。  ~終わり 

 

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【作話】

■タイトル:『カウントダウンへ(2/2)』

■作家名(Artist):環樹涼(RYO KANZYU)

■制作年:2008

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【画像】

■タイトル(Title):『カウントダウン』

 

 

 

☆みな様の訪問に日々感謝しております。

since August 25th, 2007/僕が出逢った景色から(2)

『短い物語P&D』は、とても短い物語と、それを表す絵画で構成されています。 連載ではなく、一話完結です。

日常という現実。

空想してしまうという現実。

夢を見るという現実。

それらが混在する混沌とした日々から生まれた物語。

時には共感できないエンターテインメント。

「かつてない時代を生きている今だからこそ、伝えたいことがあります。

当公演にアンコールはございませんので御了承下さい。 それでは間もなく開演です。」

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■短い物語P&D『カウントダウンへ(1/2)』

 

時刻表を確認したのは昨日の夜。 僕は初めて寝台特急に乗ることを決めた。 この時、鉄道への興味はゼロ。 席の予約すらしていない。 けれど当日、意外にも空席があった。 切符を買ってホームへ向かう。 特に旅の道程を整理していなかったせいか、列車が到着するまでの時間は忙しかった。 乗降場所や席の位置、財布の中身まで。 素人の高ぶりがにじみ出ていたに違いない。 やがて汽笛が届き、白い鬣を伸ばしたような黒い車輌が近づいてきた。 黒い獅子の蒸気とブレーキの音で駅が一斉に緊張する。 気づけば他に乗客がいなかった。 昼間とはいえ十二月。 今日は三十日だから、まあ不思議ではない。  

「はやく乗りな」 客車は止まり、そう言っている。 僕は窓に映った自分から目を反らし、扉が開くのを待った。 というのが旅の始まり。 出発はここ「KYOUTO駅」で、終点はHOKKAIDOUの「SAPPORO駅」。 約三十時間の長旅だ。 この旅の目的というのは、北の大地のドーム球場で行われる催し。 でも僕が話したいのは別の事だ。 どの辺りで起きたことだったのか覚えていないけれど、あれが夢とは思えない。 揺れる寝台の上で眠ってしまった僕は、沈み行く太陽のきつい合図で起きた。 目つきを悪くしながら、外の世界に焦点を合わせる。 窓にぶつかる飛沫が見えた。 雨が降りだしたのか。 けれど、それは違っていた。 なぜか列車は、水上を走っていた。 ~続く

 

■タイトル(Title):『カウントダウンへ(1/2』

■作家名(Artist):環樹涼(RYO KANZYU)

■制作年:2008

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【画像】

■タイトル(Title):『寝台特急、北へ』

■作家名(Artist):環樹涼(RYO KANZYU)

■制作年:2008

 

 

☆みな様の訪問に日々感謝しております。

 

 

 

since August 25th, 2007/僕が出逢った景色から(1)

『ここが始まり/絵本紀行』

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 ここに入れば、気持ちが変わる。

通り抜ければ、生まれ変わる。

短すぎてはものたりず、長過ぎれば怖くなる……

「入口があるからといって、必ず出口があるとは限らない」

どこかにつながっているとしたら、そこはどんな場所?

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☆みな様の訪問に日々感謝しております。

 

■制作依頼を承っております。

『ご依頼いただいた皆様へ……誠にありがとうございます。感謝!!』

 

電子書籍配信中!試し読み作品あります。

アルバム『Pride and Dust World』 ■著書販売中!!

9.11以降、3.11以前の混沌から生まれた物語~

『人生の途中にあるトンネル。そこでは稀にの秘密が語られる』

絵本『BLUE AND THE MOON

環樹涼 著/2007年8月25日刊行

販売価格¥1,000(税込)

 

現在、Amazon にて販売中。 著者の管理する在庫から発送いたします。

 

~自分相応の言葉~

『吹けば舞うよなにも誇りがあります』

$Pride and Dust World

詩集『埃、咲き誇るために』

環樹涼 著/2007年11月1日刊行

販売価格¥700(税込)

 

現在、Amazon にて販売中。

著者の管理する在庫から発送いたします。

※著者に直接ご注文いただいた場合は送料無料です。

ご注文方法はお問い合わせ下さい。

 

■『短い物語P&D』のSCENEを描いた絵画を初ポストカード化

『かつてない時代を生きている「今」だからこそ、伝えたいことがあります』

※絵と対になる物語は電子書籍にて販売中。アルバム収録。

ポストカード『Tug Of War~SCNEN1.2.3』

環樹涼 画/2014年制作

販売価格¥100(税込)

 

市場に流通していません。 著者の管理する在庫から発送いたします。

まだ在庫あります。

送料は無料です。

ご注文方法はお問い合わせ下さい。

 

ご購入いただいた皆様へ……誠にありがとうございます。感謝!!』

since August 25th, 2007/僕が出逢った景色から(プロローグ)

~はじめに~

絵本『BLUE AND THE MOON』が刊行された2007年から活動は続いています。

かつてない時代を生きている今、伝えたいことがある限り。

 

というわけで、これまで制作した『短い物語P&D』の物語と挿画を、8月25日~10月25日の期間限定にて公開します。

今までの道程で出逢った「地元や旅先の景色」、「経験した仕事」等から着想に至った作品です。

 

特別な人間ではないけれど、特別なことができるはず。

誰よりも優先される命ではないけれど、特別なことはできるはず。 前向きに倒れる人生であってもいいと思いながら。

 

電子書籍として配信している有料作品は一部除く。

 

9.11以降、3.11以前の混沌から生まれた物語……

『人生の途中にあるトンネル。そこでは稀にの秘密が語られる』

 

~『短い物語P&D』は、とても短い物語と、それを表す絵画で構成されています。 連載ではなく、一話完結です。~ 日常という現実。 空想してしまうという現実。 夢を見るという現実。 それらが混在する混沌とした日々から生まれた物語。 時には共感できないエンターテインメント。

「かつてない時代を生きている今だからこそ、伝えたいことがあります。 当公演にアンコールはございませんので御了承下さい。 それでは間もなく開演です。」

ASKAのFellowsを、作っていた人/ 畑中摩美

☆みな様の訪問に日々感謝しております。

 

 

■制作依頼を承っております。

『ご依頼いただいた皆様へ……誠にありがとうございます。感謝!!』

 

電子書籍配信中!試し読み作品あります。

アルバム『Pride and Dust World』 ■著書販売中!!

9.11以降、3.11以前の混沌から生まれた物語~

『人生の途中にあるトンネル。そこでは稀にの秘密が語られる』

絵本『BLUE AND THE MOON

環樹涼 著/2007年8月25日刊行

販売価格¥1,000(税込)

現在、Amazon にて販売中。 著者の管理する在庫から発送いたします。

 

~自分相応の言葉~

『吹けば舞うよなにも誇りがあります』

$Pride and Dust World

詩集『埃、咲き誇るために』

環樹涼 著/2007年11月1日刊行

販売価格¥700(税込)

現在、Amazon にて販売中。 著者の管理する在庫から発送いたします。

 

※著者に直接ご注文いただいた場合は送料無料です。 ご注文方法はお問い合わせ下さい。

 

■『短い物語P&D』のSCENEを描いた絵画を初ポストカード化

『かつてない時代を生きている「今」だからこそ、伝えたいことがあります』

※絵と対になる物語は電子書籍にて販売中。アルバム収録。

ポストカード『Tug Of War~SCNEN1.2.3』

環樹涼 /2014年:販売価格¥100(税込)

市場に流通していません。 著者の管理する在庫から発送いたします。 まだ在庫あります。 送料は無料です。 ご注文方法はお問い合わせ下さい。

 

『ご購入いただいた皆様へ……誠にありがとうございます。感謝!!』